法話~今日の糧~

日蓮大聖人のお言葉

  • 八 日

    現世の安穏を得る術

如説修行鈔 祖寿五十二歳 於佐渡一谷 門下全般宛

天下万民諸乗一仏乗と成って妙法独り繁昌せん時、万民一同に南無妙法蓮経と唱え奉らば、吹く風枝をならさず、雨壌を砕かず。
代は羲農の世となりて、今生には不祥の災難を払い長生の術を得、人法共に不老不死の理顕れん時を各々御覧ぜよ。
現世安穏の証文疑いあるべからざるものなり。

現代語訳
天下万民が他の教えに依ることなく、みな法華一仏乗に帰依し妙法の教えのみが、あまねく行き渡り、一同が南無妙法蓮華経と唱えるならば、吹く風は木々の枝を鳴らして葉を散らす程の暴風にもならず、降る雨も土塊を砕くほどの大雨にはならない。そして、世間は古代中国の賢王であった伏義や神農の時代のように豊かに栄え、今生には様々な災いが取り除かれ、人々は身心共に健康に恵まれ、長寿の術すべを得て、人も法華経の教えも共に、不老不死の安穏を得ることができるであろう。皆その道理をよくよく見きわめるがよい。現世安穏の法華経の文は決して疑いのないものである。

今日の糧

現世安穏とは決して苦がないことではありません。
苦楽は表裏一体不二のもの。
だからこそ、苦の中に喜びを見出すことがお題目の教えの真髄なのです。
日々苦悩の中で生きる私たちへの大聖人からの激励のお言葉なのです。

如説修行鈔
大聖人が龍口法難、佐渡流罪という一連の法難を受けられたこの時期、迫害は弟子信者にも及んだ。本書はこれに動揺し退転していく者が多く現れる状況下で、今こそ法華経信仰が試される時として、門下を叱咤激励されたお手紙である。羲農の世儒教の理想社会。古代中国の徳政を行った伏義と神農の二人の皇帝の時代の事。伏義は文字を作り、漁を教え、婚姻を制定。神農は農耕、医薬、商業を広めたと伝えられる。これを大聖人も法華経信仰によって実現すべき理想の国土とされた。